やめることが、新しい暮らしのはじまりだった。
引っ越しの荷物は、少しの洋服とパソコンだけだった。
25年間当たり前だと思っていたものが、ここにはない。
最初は不便かと思った。
でも暮らしてみると、なくても全然困らないどころか、むしろ気持ちよかった。
これは、私が1人暮らしをはじめてやめたものの話。
① 魚焼きグリルをやめた
3口コンロに魚焼きグリル付き。
団地にしては珍しいシステムキッチンで、オーブンを買わずに済んだのはありがたかった。
でも誰かが一度使ったグリルを使うのは、気が乗らなかった。
だからフライパンと魚焼き用のアルミで焼くようにした。
やってみたら、これが正解だった。
グリル内に脂が広がる心配もない。
洗う手間もない。
本来めんどくさがりの私には、むしろこっちの方が向いていた。
② 掃除機をやめた
以前は広いマンションに部屋数もあり、掃除機は当たり前の存在だった。
でも今の家は2Kで、2部屋合わせてもたった10畳。
今は濡らした新聞紙を床に撒いて、ほうきで掃く。
濡れた紙が埃を絡め取ってくれるから、空中に舞い上がらない。
その後クイックルワイパーで水拭きして終わり。
掃除機を片付ける場所も要らない。
電気代もかからない。
時間もかからない。
掃除機がなくて困ったことは、一度もない。
③ ゴミ箱をやめた
以前は各部屋にゴミ箱があって、45リットルのゴミ袋を持って集めて回るのも私の役割だった。
今はキッチンのドアの取っ手に、指定の10リットルゴミ袋をかけるだけ。
生ゴミは水をよく切ってビニール袋に入れ、空気を抜いて縛り、ゴミ収集の当日朝まで冷凍庫へ。
生ごみを冷凍庫に入れることに若干抵抗があったので、カゴで仕切りを作り、再利用のジップロックに入れて保管している。
腐らない。臭わない。そしてGも来ない。これは本当にやってよかった。
④ ベッドをやめた
以前はしっかりしたマットレスのベッドを2台並べて寝ていた。
今の部屋にそんな余裕はないし、いつか引っ越すことを考えたら大きな家具は置きたくない。
選んだのはオールインワン型の布団。
畳むとコンパクトな立方体になって、片手で押入れにポイッと放り込める。
それでいてマットレスはしっかり体を支えてくれるし、掛け布団は表裏で冬夏兼用。
なんちゃってミニマリスト、悪くない。
むしろ気に入っている。
⑤ 下駄箱をやめた
もともと備え付けがなかったこともあるけれど、あえて用意しなかった。
靴は登山靴からベランダのクロックスまで含めて7足。
それだけあれば十分だとわかった。
これからは新しいものを買ったら古いものを手放す、入れ替え制にしようと決めた。
手放すと、自分が見えてくる。
やめてみて気づいたことがある。
今まで「あって当たり前」だと思っていたものの多くは、誰かと暮らすための「当たり前」だったのかもしれない。
1人の暮らしに必要なものは、思っていたよりずっと少なかった。
少ない方が、身軽だった。
少ない方が、自分らしかった。


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